楽天との資本提携は日本郵政のいびつさに拍車をかける

政府内部でも日本郵政のあり方にはさまざまな意見がある。日本郵政株の売却益は、復興財源として見込まれており、株価の低迷によって高値で売却できないことは、財政当局にとって困った事態である。

だが、すべてを市場原理に任せ、郵便局の維持がままならなくなれば、地域の過疎化に拍車をかけてしまう可能性があり、地方創生という理念に逆行する。

このように複雑な事情が絡み合う形で日本郵政の経営は行われており、一連の利害関係を整理するのは難しい。そして、合理化が進まない日本郵政の体質によって、多数の郵便局が維持されていることは、楽天にとって皮肉にも大きなメリットとなっている。

しかも、楽天との資本提携はこうした日本郵政のいびつなガバナンスに拍車をかける可能性が高い。日本郵政としては楽天に1500億円も出資する以上、資金の行き先である携帯電話事業が軌道に乗り、郵便局の手数料拡大に寄与しなければ意味がない。

加えて、楽天と日本郵政の物流面での一体化が進めば、楽天の方も簡単には関係を解消できなくなる。つまり今回の提携によって楽天と日本郵政は同じ船に乗ってしまったということであり、これはある種の相互依存関係といってよい。ただでさえ複雑だった日本郵政の利害関係者の中に、楽天という民間企業も含まれた格好だ。

先端的で合理的な(はずの)IT企業と、複雑な利害関係を持つ政府系企業の資本提携という奇妙な関係は、人口減少による市場縮小を前に、先行きが不透明になっている日本経済の現状を如実に反映している。

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