国内シェア4割をもつ軽自動車の「既得権益」
日本の家電業界は量販店の大量仕入れによる低価格販売でメーカーの体力を奪った。一連の小型EVの台頭は、メーカーが車両価格を支配するという自動車業界のピラミッド構造を壊し、自動車メーカーを家電メーカーと同じ運命に陥れる恐れがある。特に小型EVと正面から競合するスズキなど軽メーカーには大きな脅威だ。
修氏は自らを「中小企業のおやじ」と称して「庶民」を味方につけ、軽の規格や優遇税制をもぎ取り、交通の便が悪い地方を中心に基盤を広げてきた。しかし、それが小型EVに置き換わればその「売り文句」も一気に色あせる。
軽自動車は、最近では性能も小型車に引けをとらないまで高まっている。価格も小型車と変わらないまで上がっているが、税金が安いおかげで所有コストが低く、国内では4割ものシェアを維持している。
修氏を継ぐ俊宏氏が軽の既得権益を守れるのか。長年、業界を牽引してきた修氏の退任は軽自動車業界の今後を見通したとき、大きな岐路になるかもしれない。