東京五輪の聖火リレーで先導車を務めた名車
2月1日に発売されたカワサキの800ccバイク『MEGURO K3』に今、静かな、しかし熱い注目が集まっている。
なぜならMEGUROの名は、1924年(大正14年)に東京市大崎区目黒村(現品川区)で創業した日本初のスポーツバイクメーカー『目黒製作所』(ブランド名は『メグロ』)に由来するからだ。
メグロのバイクは高性能、高品質で知られ、当時のライダー達の憧れの的だった。また、数少ない国産の大排気量ブランドとして戦前、戦後を通じ警視庁に白バイを納入しており、1964年(昭和39年)の東京五輪時には聖火リレーの先導車という大役も果たしている。
しかし、戦後はホンダ、ヤマハ、スズキといった新興メーカーの勢いと市場ニーズの変化に押され、苦戦を強いられる。打開策として1960年、川崎航空機工業(現・川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー)と業務提携を結んだものの収益は改善されず、1963年に川崎傘下となって『カワサキメグロ製作所』と改名、翌1964年には川崎に吸収合併され、バイクメーカーとしてのメグロは消滅してしまう。
だが、そこでメグロの血脈が完全に途絶えたわけではなかった。