「PDCA風」に勉強を進めるのは禁物

受験勉強を進めていく上で、学習スケジュールを立てることは大切だ。だが、お父さんが立てる計画はそもそも無謀過ぎることが多い。

PDCAという言葉は聞いたことがあるだろう。PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つのサイクルのこと。仕事を改善・効率化する手法で、ビジネスでは馴染みのある言葉だ。改善・効率化に有効な手段となれば、子供の中学受験にも使えそうと、取り入れたがるお父さんは少なくない。だが、それをやってしまうと、大抵の子供はやる気をなくす。

そもそもお父さんの考えるプランは明らかに詰め込み過ぎだ。先に紹介したマモルくんのお父さんがいい例だろう。いつもそばにいるお母さんなら「そんなの無理よ」と肌感覚で分かるものだが、お父さんにはそれができない。一度決めたことは、何がなんでもやらせなければと思っている。仕事ではそれが絶対だからだ。そして、できない子供を叱る。

誤解しないでいただきたいのが、私はPDCAを否定しているわけではない。正しい意味を理解しないで「PDCA風」にやろうとすることに問題があるのだ。多くのビジネスマンにとって、PDCAはあまりワクワクする言葉ではないだろう。どこか管理されているイメージがあるからだ。特に「C」のチェックでは、「なぜ業績が上がらない?」とできていないことを指摘される。

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「できて当たり前」ではなく、ほめる

だが、本来のPDCAの「C」は、できていることもできていないことも両方チェックするもので、できていないところだけをチェックするものではない。できているところは、「できて当たり前」ではなく、認めてほめるべきなのだ。大人でもそうだが、人にほめられるとやる気がアップする。逆にできていないところばかりを指摘されて、「何クソ!」と奮い立つ部下はあまりいないだろう。精神的にまだ幼い小学生の子供ならなおさらだ。

中学受験の勉強にPDCAを取り入れるのなら、特に「C」の扱いに気をつけなければいけない。「C」はほめるためにある、くらいに思っておいた方が効果は高いだろう。予定通りにできたら、そこは大きなほめポイントだ。だからこそ、予定は詰め込み過ぎないこと。子供が1日を終えるときに、「あ~、今日は気持ちよく勉強ができたなぁ~」と思えるくらいの量がちょうどいい。