現代では戦後のようなモノ不足が起こることはない

人々は生きるために食糧を求めて買い漁りました。そのため、終戦4カ月後の1945年12月には月間のインフレ率が66.4%となり、このままこれが1年間続けば1年で物価は451倍になるところでした。

井上智洋・小野盛司『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(扶桑社)

1946年2月、当時の幣原内閣は既存の旧日銀券を失効させ、強制的に預金をさせて封鎖。そして封鎖預金の引き出しを毎月一定額に制限しました。世帯主300円、その他の世帯員1人あたり100円とし、この額で生活するように強制したんです。このように、戦後のハイパーインフレや預金封鎖騒ぎは、戦争や凶作によるモノ不足で、需要が供給をはるかに上回った結果です。

当時と現在は、状況がまったく異なります。国民全員に現金を配ったら、生活苦で食事にありつけなかった人も食べることができます。それにより食糧の需要は多少増えるかもしれませんが、終戦直後のような極度の食糧不足も、モノ不足も引き起こされるとは考えられません。特定のモノが不足になれば、世界的なサプライチェーンがありますから、輸入量が増えるだけなんです。

現金給付が一定期間行われると、土地や株に投資する人が増えて地価や株価が上昇する可能性はあります。それが現金給付をストップさせる理由になるかどうかはわかりません。毎月10万円の現金給付をまず始めて、しばらく様子を見るべきです。これは必ず、日本経済を良い方向に導きます。

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