「政府はお金を使わない」ということで日本中が結束してしまった

「痛みに耐えて」倹約すればするほど、お金が社会を循環しなくなり、さらに経済状況が悪化していく。そうすると、さらに大きな痛みが襲ってくる。戦前はそうでした。みんな「欲しがりません、勝つまでは」と言って我慢させられました。結局勝たなかったのですけどね。一生懸命、国債を買ってもそれが紙くずになってしまいました。

ともかくこの「失われた20年」で、「政府はお金を使わない」ということで日本中が結束してしまったんですね。ただ、今回のコロナ不況対策で10万円を全国民に配りましたから、それは良かったと思います。ただ、10万円1回だけでは足りません。もっとやる必要があります。

これで、国民に現金給付がなされていたらGDPが増加しただろうということがよく分かっていただけたと思います。バブル崩壊後から現金給付を行っていれば日本経済を復活させられたのに、なぜそうした発想が広がらなかったのか。「財政健全化」とともに、「お金を配る」ことへの反対意見としてよくあるのが「そんなことをするとハイパーインフレになる」という主張です。しかしこれも根拠のないものであることは、私が行ったシミュレーションで結果が出ていました。

「お金を配るとハイパーインフレになる」は杞憂である

2000年から大規模な現金給付を行ったと仮定して、例えば年間80兆円を配り続けた場合、物価の値上がり率は2002年0.7%、2003年が0.9%、2004年が0.8%となります。「健全」とされる政府の物価上昇率の目標は2%ですので、現金給付を行ったとしても、ハイパーインフレが起きるどころか、物価上昇率はむしろ政府目標に達しない程度の低いものだったのです。

その一方で経済は活性化し、すでに2002年の時点で名目GDPが602兆円に達していたとのシミュレーション結果が出ています。2020年の状況で再度計算し直してみても、この状況は大きく変わっていません。政治家が決断すれば日本経済はこのように発展するのです。