※本稿は、野村克也・著『野村の結論』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
一流にあって二流にない“感性”
人間の最大の悪は、鈍感である──。わたしはそう信じている。
一流になる人間は、みな感じる力を持っている。些細なことに気づくから自ら変わることができ、その変化が大きな進歩につながる。
だから、一流の選手は総じて修正能力に優れている。一度の失敗でどこが悪かったのかに気づけるので、同じ失敗を二度と繰り返さない。2回、3回と失敗を繰り返す者は二流、三流。4回も5回も繰り返す者は、もはやプロ失格である。
失敗を失敗として自覚できない、もしくは失敗の原因を分析する力がなければ、失敗を糧に成長することはできない。だから、「最大の悪は鈍感」なのだ。
「感じる力を持っている人間は絶対に伸びる」
これは、半世紀以上プロ野球の世界で生きてきたわたしの実感である。
一部の天才を除けば、プロのレベルであれば、一生懸命練習しても技術力に大きな差は生まれない。一流のバッターも、二流のバッターも技術的にはそれほど変わりはないのである。
ではなにがちがうのか? それは頭である。一流と二流のちがいは「頭脳と感覚のちがい」だと、わたしは思っている。
二流の人間というのは、鈍感なのである。