組織やチームをつくるうえで最も大事なことがある。2020年2月に亡くなった野球評論家・野村克也氏は「組織づくりの基本は『人間づくり』だ。人を育てるプロセスには「無視」「称賛」「非難」の3段階がある」という――。

※本稿は、野村克也・著『野村の結論』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ヤクルト球団設立50周年を記念して行われたOB戦。試合後、取材に応じるGOLDEN 90’sの監督を務めた野村克也氏=2019年7月11日、神宮球場
写真=時事通信フォト
ヤクルト球団設立50周年を記念して行われたOB戦。試合後、取材に応じるGOLDEN 90’sの監督を務めた野村克也氏=2019年7月11日、神宮球場

リーダーの器以上に、組織は大きくならない

チームは監督の力量以上には伸びないし、監督の器より大きくなることはない。これは組織論の原則であり、自分自身にも言い聞かせてきたことである。

つまり、組織が強くなれるかどうかは、リーダーの力量にかかっているということだ。

ならば、リーダーと呼ばれる人間は、どんなときも自分がレベルアップしていくことを目指す義務がある。

わたしも、「現状の指導方法でいいのか」「もっとよいやり方があるのではないか」と自分自身に問いかけ、グラウンドの外でも自分を磨いてきた。選手以上に自分を厳しく律し、「進歩しよう、向上しよう」という姿勢を周囲に見せる必要があるからだ。

では、器とはなにか。

人望、信頼、度量、貫禄、威厳といった人格的要素はもちろんのこと、表現力に優れ、的確な言葉を使えることも重要なポイントだ。野球に関する知識と理論、さらに戦略、戦術に長けていることは当然だが、人間社会は基本、言葉のやり取りで成り立っているからだ。

監督の器の要素をすべて備えている人は、皆無に近い。わたしがなんとか長く監督をまかせてもらえたのは、欠点こそあれ、選手やフロントから一定の信頼を得ることができたからだろう。

監督の器をはかるさまざまな要素のなかで、もっとも肝要なのは信頼、そして周囲から寄せられる信用だと思う。