毎月10万円を、全国民に配り続ければ日本経済は必ず良くなる

現在、コロナ禍で世界中が大規模な財政出動をしていて、各国の債務は第二次世界大戦時のピークを超えています。しかし、ハイパーインフレになどなっていません。私が推奨するのは財源を国債で賄って「毎月10万円給付を継続する」ということです。国民に対しては「続けられる限り続ける」とアナウンスして安心感を持ってもらいます。

10万円の給付はすでに行われました。そのことによる物価の急上昇も国債の暴落も起こらなかったことは経験済みです。毎月10万円給付を継続していった場合、最初の頃は何も起こらず、むしろ日経NEEDSの予想通りになっていくと思います。株価や地価の急騰はあるかもしれません。しかし一般の物価が急上昇するかというと、簡単には上がらないと思います。それが起きるのは極端な、そして全般的なモノ不足が起きる場合です。

例えば2020年4月ごろ、マスクの需要が突然に急拡大してネットでは高値で販売されていました。しかし間もなく供給が追いつき、今ではマスクはどこでも買えるようになり、もとの値段に戻りました。「1974年のオイルショックの際には“狂乱物価”と呼ばれるようなものすごいインフレが起きたじゃないか」と思う人がいるかと思いますが、当時は原油価格が1バレル3ドル程度だったのが一気に11ドルまで値上がりし、日本経済が過度に原油依存だったので値上げは仕方のないころでした。

終戦直後は激しいインフレになったが…

多くの人が心配するのは、こうした激しいインフレになる場合です。一つの例は終戦直後の状態でしょう。当時は戦費のため歳出は10年で42倍になりましたが、物価統制令で物価を無理に抑えていました。国民も「欲しがりません、勝つまでは」と言って、じっと我慢していました。

しかし戦後、物価統制令が解除されたために激しいインフレになりました。空襲で多くの生産設備が失われたこともモノ不足を深刻化させ、インフレが加速しました。焼け野原になった日本に残された生産設備はわずかで、鉱工業生産は戦前水準の27.8%しかなかったのです。1946年の輸入は戦前の10分の1にまで落ち込んでいたことも、モノ不足に拍車がかかった要因でした。

そして原料や石炭、電力の不足もあってモノの生産は大きく落ち込みました。農業も、戦時動員による人手不足で作付面積が減少したところに冷害などの災害が加わり、1945年の米作は587万トンという記録的な凶作となりました。ちなみに1940~1944年度の平均は911万トンですから、いかに終戦の年が凶作だったかがわかりますね。