高血圧の人は要注意

なかでも気をつけてほしいのが、高血圧の人。大動脈瘤破裂にしても大動脈解離にしても、高血圧の人に多い傾向があります。Aさんも、もともと高血圧で内服薬による治療を行なっていましたが、起床時の血圧は160/80mmHgと、いつも高めでした。

そのほか、糖尿病や脂質異常症、喫煙も、大動脈瘤、大動脈解離のリスク因子です。

私がお世話になっていた先輩医師も、まだ60代半ばでしたが、数年前に腹部大動脈瘤破裂で亡くなりました。高血圧の持病があり、喫煙者でした。

大動脈瘤破裂は急に起こるので、医師であってもなかなか気づけません。先輩医師はおそらく破裂した時に本人が気づき、すぐに病院に搬送されましたが助かりませんでした。

定期健診、腹部エコー検査が大事

ですから、やはり破裂する前に見つけることが大切。大動脈瘤は、定期健診や人間ドック、他の病気の診察などでレントゲン検査や腹部エコー(腹部超音波)検査を受けた時にたまたま見つかることが多いものです。

池谷敏郎『腰痛難民』(PHP新書)

実際、私の患者さんでも「腰が痛い」との訴えから腹部エコー検査を行ない、腹部大動脈瘤が見つかった方もいます。その方は、こぶがすでに大きくなっていましたが、心臓血管外科で外科的治療を受け、助かりました。

また、血管事故のリスクを下げておくことも大事です。

「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」「喫煙」の4つは、血管を老けさせる「4大悪」です。これらのいずれかをもっている人は、治療を受けるなり生活習慣を見直すなりして、ひとつでもリスク要因を減らすこと。

そして、大動脈瘤破裂や大動脈解離といった怖い血管事故が起こりやすいことを自覚して、定期健診をおこたらないことも大切です。

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