ネット事業者も社会問題化に対応して相次ぎ中傷対策
青森県も11月に「STOP!コロナ誹謗中傷 ネット監視チーム」を発足させ、日常的に「ネット中傷」を監視するネットパトロールを実施、県民の安心確保に注力している。
ただ、“犯人”を特定できても、誹謗中傷の投稿を削除できるとは限らない。ネット事業者に強制的に投稿を削除させるすべはなく、判断はネット事業者の自主ルールに委ねられているからだ。
だが、「ネット中傷」が社会問題化したため、ネット事業者の対応にも変化が出てきた。
ヤフーは12月末、「ネット中傷」の抑止策として、「Yahoo!ニュース」をはじめとするすべての投稿サイトで、AI(人工知能)を駆使して「悪意のある投稿」を排除する方針を明らかにした。人力に頼らざるを得なかった対策を、最先端テクノロジーに委ねようというわけだ。
誹謗中傷になりそうな表現を例示し、削除基準を明確にした上で、AIの判定を基に該当する投稿を自動的に発見して削除するという。
もはや「匿名」という安全地帯はなくなった
ツイッターは、悪意あるツイートに対し、グローバルで共通のポリシーを基に対応するとし、何度も繰り返す場合はアカウントを凍結するなどの措置をとるよう定めている。
フェイスブックも同様という。
内外の大手ネット事業者が加盟する「ソーシャルメディア利用環境機構」は2020年5月、「悪質な投稿への対応を徹底する」との緊急声明を発表。IT企業でつくる「セーファーインターネット協会」は6月、「誹謗中傷ホットライン」を設けて、被害者に代わってサイト管理者に投稿の削除を要請する仕組みを整えた。
ネット事業者も、コロナ禍という世界規模の危機に直面し、今まで以上に「責任」を感じるようになったようだ。
「ネット中傷」の“犯人”の包囲網は、確実に狭まりつつある。もはや「匿名」という安全地帯はなく、逃亡(アカウント削除)しても逃げ切ることは難しい。