「核・ミサイルにしがみつく北朝鮮の旧態依然たる姿」

1月16日の産経新聞の社説(主張)は「金氏が総書記に 対北圧力を強めるときだ」との見出しを付け、中盤でこう指摘する。

「北朝鮮は14日、軍事パレードを実施した」
「浮かび上がるのは、国連制裁や新型コロナウイルス禍による体制の動揺を乗り切るため、正恩氏個人の独裁色の強化で虚勢を張り、核・ミサイルにしがみつく北朝鮮の旧態依然たる姿だ」

「独裁色の強化」「虚勢」「核・ミサイルにしがみつく」と社説として許されるぎりぎりの非難の言葉を並び立てる。拉致問題で北朝鮮を厳しく批判してきただけはある。

産経社説は主張する。

「今求められるのは国際社会による対北圧力の強化だ。核・ミサイルを放棄し、日本人拉致被害者を全員解放しなければ厳しい制裁が続き、国が立ち行かなくなると独裁者に自覚させる必要がある」

なぜ、北朝鮮は「核・ミサイルの開発」にしがみつくのか。金正恩氏が軍事力の強化こそが、自国を発展させる一番の近道だと信じ切っているからだ。金正恩政権の弱さは、核兵器にしか活路を見いだせないところにある。国際社会はその弱点をうまく突き、国際社会の中での国のあるべき姿を示すべきである。

産経社説が主張するような「圧力を強める」ことではなく、核・ミサイルの開発を止めて国際社会の仲間入りを果たせれば、各国から経済援助も受けられ、近い将来には貿易相手国としても認められる。そうすれば北朝鮮の経済は潤って国民生活が豊かになる、と理解させることが必要だ。

「北朝鮮は米新政権との対話を期待している」と朝日社説

次に1月11日付の朝日新聞の社説を見てみよう。北朝鮮の対米政策をこう指摘している。

「また米国に対して『誰が政権の座についても実体は不変だ』として、今月発足するバイデン政権への警戒感を示した」
「勇ましい言葉とは裏腹に北朝鮮が米新政権との対話を期待しているのは間違いない」

沙鴎一歩も金正恩氏の本心はアメリカとの再交渉にあるとみる。バイデン政権への勇ましい言葉は国内向けのプロパガンダであり、今後のアメリカの出方次第では制裁を少しでも緩和させて経済を立て直すために必ず対話に乗ってくるはずだ。