5年ぶりに開かれた党大会を記念する軍事パレード
北朝鮮の首都平壌(ピョンヤン)にある極寒の金日成(キム・イルソン)広場で1月14日夜、軍事パレードが行われた。北朝鮮の朝鮮中央通信と朝鮮中央テレビが15日に報じた。
軍事パレードは、5年ぶりに開かれた朝鮮労働党大会(5日~12日に開催)を記念するもので、党の創立75年に合わせた昨年10月以来である。金正恩(キム・ジョンウン)総書記ら党幹部が出席した。
金正恩氏は党大会で委員長から総書記に選出された。総書記は父親の故金正日(キム・ジョンイル)氏と祖父の故金日成氏が就いていたポストで、自分が父親や祖父と同じ実力者であることを北朝鮮国内に強くアピールしたことになる。今回の党大会は党の指導力の強化が目的のひとつなのだろう。
過去5年間の経済計画は「ほぼすべての部門で未達成だった」
9日の朝鮮中央通信によると、金正恩氏は党大会でアメリカの政権交代に初めて言及し、こう語った。
「だれが大統領になっても米国のわが国に対する政策は絶対に変わらない」
「米国は最大の主敵だ。米国を制圧して屈服させることに力を尽くす」
「核兵器を小型化して能力もさら高め、首都ワシントンを射程に捉えた核による先制・報復攻撃能力の獲得を目標にする」
金正恩氏は相変わらず威勢がいいが、虚勢を張っているのに過ぎない。北朝鮮の内情は、かつてないほどの厳しさに直面しているからだ。
国連安保理による経済制裁によって国内の経済が行き詰まり、そこに水害と新型コロナが追い打ちをかけている。事実、党大会などで金正恩氏は過去5年間の経済計画の目標が「ほぼすべての部門で未達成だった」と認めている。
その結果、北朝鮮の国民は貧困にあえいでいる。少し前だが、金正恩氏が涙声で国民の生活を窮乏から救うための方策を訴えていたテレビ映像が印象的だった。核・ミサイル開発に投じる莫大な資金があるのなら、なぜそれを国民のために使わないのか。ここに金正恩政権の問題点がある。