大阪の不動産費は東京の40%で済む
【北尾】そういうことです。ですからそれよりもむしろ、大阪の不動産費は東京に比べて40%ですから、物凄くコスト軽減になります。人件費も東京の方が高い。そういうことを考えると、出ていくコストは大幅に関西の方が安いということになりますね。
そもそも関西圏は地盤沈下と言われて久しいです。これを国として何とかしようというのが地方創生でしょう。ふるさと納税も、菅総理が官房長官の時に言われ、あそこまで発展し、多くの地方に潤いを与えていますよ。東京から逃げていくお金はものすごく多いですよ。
東京というのは地方から来た人の集合体でもあるわけで、そういう人たちが地方を、自分の育ったところに何かしたいと思うのは当然の心情の吐露ですよね。そんなこと考えると、東京、東京と躍起になる必要もないと。
それより、このcongestion、混みすぎというのは確かに便利ではありますが、これを何とかしないといけない。それから地盤沈下の都市を作ってはいけない。これが基本だと私は思います。
今でも、49歳で見つけた天命は変わらない
【田中】そういう意味では、知行合一にこだわる経営者が、このタイミングで「地の利」を得、「天の時」で、相当大きなお仕事をされるタイミングが到来していると思います。
常に自己維新を続けられている北尾社長ですが、このタイミングで尽心、知命、立命、そして自己維新というキーワードで、ご自分の天命を表していただくとするとどういう感じになるでしょうか。
【北尾】私は49歳の時の天命を結局今まで変えることなく、70歳近くになったと考えています。あの時、一番の社会的弱者は誰なのだろう? と考え、その時の結論は子どもだったわけです。
当時、子どもへの児童虐待が増え始めている時でもあって、この子ども達というのは、本来は最も深い愛情を与えてくれる親から虐待を受けるような状況になっている、これを何とかしないといけないと思いました(※)。インターネットで様々なサービスを提供しながら、出来る限りの金融商品の受益者に対して最大限の顧客メリットを提供しようと。あの時考えたことは変える必要性がないと思っています。
※児童の自立を支援し、産業界に児童福祉の啓発を行うことを通じて、児童福祉の充実及び向上に寄与することを目的に、2005年より、財団法人 SBI子ども希望財団(2010年に公益財団法人に移行)を運営。
【田中】もう全く変える必要がないわけですね。