「かくれ繊細さん」はこれまであまり認知されてこなかった
刺激はほしい(HSS)けれども、傷つきやすい(HSP)。その両方を持ちながら、自分を社会で生かしたい。求められる人になりたい。そのように激しく葛藤してジレンマを抱えているのが、「かくれ繊細さん」の姿であると言えます。
そして、この人たちは、自分と世の中の人たちとの違いが理解できず、どうしたら思ったように自分を取り扱えるようになるか、どうしたらこのギャップによる生きづらさを解消、克服できるのか、その方法を探していらっしゃると思います。
もしかしたら、自分は鬱なんだろうか? 親の育て方のせいでこんなふうになってしまったんだろうか? だとしたら、アダルトチルドレンだろうか? 感情の起伏が激しくて、自分で自分の機嫌もとれなくて、上がったり下がったりするから躁鬱だろうか? みんなが仲良くコミュニケーションとって気軽につきあっているのに自分にはそういうことができないし、とにかく飽きっぽい。これって、発達障害の傾向があるのかも?
……などと解決策をあれこれ探ってみてはいるものの、いまだにこれといった解決策に至っていない。こんなことを話せる人もいないし。と、夜な夜なネット検索しているかもしれません。
その理由は、「かくれ繊細さん」がこれまでその特徴を知られていなかった、ということに尽きるのです。
「繊細さん」と「かくれ繊細さん」の違い
「繊細さん」と、「かくれ繊細さん」の違いは、大きく2つ挙げられます。
一つは、好奇心旺盛で新しい情報を常に求めている、という特性。早くたくさんの情報を得て結論を知りたいので、せっかちで気持ちがはやる。それでおのずと早口な人が多いのではないかと考えられます。焦りやすく、落ち着きがないという欠点にもなりやすい側面です。
また、もう一つは、自分がどう見られるかに強い関心があるという点です。見た目や話し方や持ち物、服装、化粧の仕方など、人からの印象を左右するものに対して強い関心を払う傾向が「かくれ繊細さん」には強い。持ち前のバランス感覚や芸術的なセンス、イメージを捉える力が生まれながらに備わっている(HSP的特性)ことと相まって、見栄えにHSPよりも強くこだわる傾向があるのは、HSPとのわかりやすい大きな違いと言えます。
「かくれ繊細さん」の人物像としては、やんちゃで気分屋で新しいことを知りたがる。大きな声で笑い、人との付き合いも活発。やりはじめたらやめられない。でも最後までやれない。頑固。表情豊か。人前に出ることも嫌いじゃない。リーダーや幹事を任せれば、気の利いた采配をしてくれる。けれど本人は「もう少しできたんじゃないか」と反省。着眼点やアイデアや発想力がある。普通の人が苦手とすることをするするとやれるのに、みんなが淡々とこなせることにはつまずいてへこむ。気にしている風には見えないのに、急に何日か伏せってしまい、人に弱いところを見せないので、周囲の人たちには気づかれづらい。
ちなみに、私が個人セッションをした中では、HSS特性が旺盛で「体力がある若い時期に長期間海外に滞在した経験がある」方が半数ほどを占めます。日本にいると「常識的な人」の枠の中で生きなければならず、本来の自分の姿を表現することができないため、海外で生きるほうが楽に感じる方が多いのだと思います。