「アマゾンで注文すればタダ」と勘違いする子どもたち
現金を目にしなくなると、お金がどこから来ているのかもわからなくなります。親が仕事をして、給与が口座に振り込まれ、そのお金を引き出して買い物をする。その流れが以前にも増して見えなくなっているのです。
こんなことがありました。ある人が小さな子どもを連れて、買い物に行きました。そのときは、現金で決済しましたが、家に帰ってから子どもがこう言ったそうです。
「ママ、お店で買わない方がいいよ。アマゾンならお金がいらないんだから」
母親がネットでポチっと注文する姿からは、お金を支払っていることがわからなかったのでしょう。生体認証や顔認証が普及してくると、店舗で買い物をしても決済したことに気づかないでしょう。子どもは支払いをせずに欲しいものを持ち帰ってもいいと、考えてしまうかもしれません。それだけ決済の方法が変わっているのです。
電子マネーではお金を稼ぐ大変さは伝わらない
キャッシュレスが進んだことで、お金を稼ぐことの大変さもわかりにくくなっています。お子さんが塾や習い事などに通うようになると、首都圏ではSuicaやPASMOなどの電子マネーを持たせることも多くなるでしょう。
電子マネーで支払いをすると、子どもにはお金が減っている感覚がありません。「欲しいものがあったらカードを出せばいい」という感覚だけです。自分の子どもが塾帰りに「友達みんなに肉まんをおごっていた」などという話も聞きます。
父親や母親が一生懸命に働いて得たお金が、電子マネーに形を変えて入っているから買い物ができることが理解できません。幸い、いまはまだ現金とキャッシュレスを併用できますから、お年玉の一部を電子マネーに入金してみるなどの体験も必要かもしれません。