一人っ子がますます増え、子どもを溺愛するあまり、子離れできない親の姿が問題になっている。「変化の激しい時代を生きていく子どもを思えばこそ、親は適切なタイミングで子離れしなければならない」と説くのは、元・開成中学・高校の校長で、現在は北鎌倉学園の学園長を務める柳沢幸雄氏。教育の専門家16人が、先行き不透明な時代の子育てに「これだけは大切なこと」を語った書籍『究極の子育て 自己肯定感×非認知能力』(プレジデント社)から、その論稿を抜粋して紹介する。

※本稿は、おおたとしまさ・監修、STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ・編集『究極の子育て 自己肯定感×非認知能力』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

現実的に考えれば子離れは必然

いま、「子離れできない親が増えている」と盛んにいわれています。なかには、子どもの入社式について行くような親もいるとか……。

わたし自身は、中年になったひきこもりの子どもを高齢の親が世話をするという、いわゆる「80・50問題」も覚悟のうえなら、別に無理に子離れしなくてもいいと思っています。

でも、現実的にはそれは難しいことですよね?

よほど経済的な余裕があるならともかく、高齢の親が亡くなってしまえば収入源は閉ざされるわけですから、子どもは生きていくことができなくなります。そうであるならば、子どもが自立できるように、親はどこかのタイミングで子離れをしなければなりません。

子離れまでに身につけさせるべき“生活力”

では、そのタイミングはいつなのか。

子どもがかわいくてしょうがないからと、子どもが40歳になるまで子離れしなかったとして、その子どもは社会で生きていけるでしょうか?

ソファーに座り足を机の上に投げ出す男性
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まったく社会経験がないまま40歳ではじめて就職試験に臨んでもうまくいくはずがありません。「体力だけには自信があります!」なんていわれても、世間からしたら「40歳にもなってなにをいっているんだ?」という話でしょう。

やはり、18歳頃までのあいだにしっかりとひとりで生きていける生活力を身につけさせてあげなければならない

その年齢なら社会経験がなくても当然ですし、まわりからは子ども扱いされると同時に、一方で「しょうがない」とも思ってもらえる。そうして、周囲から仕事をはじめとしたさまざまなことを教わりながら大人として成長していけるのですから、それが子どもにとってはいちばん楽な道といえます。

子どもには生き物としての成長の段階がある。そこに合わせて子どもの生活力を育て、適切なタイミングで子離れすることが、親がやるべきことです。