「子離れできない親子」=「母親と息子」?

ところで、「子離れできない親とその子ども」と耳にしたとき、みなさんはどんな親子をイメージしたでしょうか。多くの人が「母親と息子」を思い浮かべたのではないですか?

これは、単なるイメージというわけではなく、はっきりとした理由があります。

親は息子に対しても娘に対しても同じように育てていると思っているものですが、じつは子どもの性別によってその対応には自然にちがいが生まれています。それがはっきりするのは、子どもが思春期に差しかかったとき。

子どもの体に変化が表れ、それに伴って意識も変化してきたとき、同性の子どもについては自分が経験してきたことですから、その変化を理解できます。

一方、異性の子どもの場合にはわからないのです。

母親にとって息子は“宇宙人”

母親は、自分の父親や夫を通じて成熟した男性についてはある程度のことを理解しています。ですが、成熟していく過程にある男性のことはわかりません。母親には息子が宇宙人にしか見えなくなるのです。

でも、自分の子どもですから、かわいくてしょうがない。

すると、そのかわいいという感情だけが強く残り、息子のことをきちんと理解できないまま子離れできないということになるのです。

一方、父親も娘のことを理解できないという点では、息子に対する母親とちがいはありません。でも、共働き家庭が増えているとはいえ、子どもと接する時間はどうしても母親のほうが多くなりがちです。

息子か娘かにかかわらず、子どもと接する時間自体が多くない父親の場合、母親のように子どもと密接な関係を築くことはそもそも難しい。また、異性の親に対する拒絶感は、息子より娘のほうが強い傾向にあることも挙げられます。