日本を除くアジア諸国の不動産はすでにバブルである

不動産は買おうと思わない。近いうちに金利が上昇すれば、不動産にとってはネガティブだ。元々売りたいときにすぐに売れない流動性の低い資産は私好みではないし、基本は、今現在、自分と家族が住む家一軒だけ買って所有できれば十分だと思っている。もちろん抵抗できないほど魅力的な不動産があれば買うかもしれないが、日本を除くアジア諸国の不動産価格はおおむねバブルであり、特に香港などについては非常に高値圏にあるので投資したいとはまったく思わない。

ジム・ロジャーズ『大転換の時代』(プレジデント社)

ちなみにREIT(不動産投資信託)についても同じ考えだ。REITの魅力は分配金の高い利回りだが、金利が上がれば不動産価格とともに下がると考えるので、あまり手は出したくない。

ただし、まったく新しいテーマのREITが出たならば買ってもいいと思う。たとえば、ロシアや北朝鮮関連、または農地関連のREITなどが存在すれば投資してもいい。しかし現状で売買されているREITは流行りの香港やシンガポールのREITばかりで、すでに高値なのでそこには手を付けたくない。

日本のREIT(J-REIT)なども面白いが、しかし、金利上昇局面ではREITの配当が高くなければ、競争力を失ってしまう。そして住宅価格そのものも競争力が高くなければいけないため、やはり買う気が起きない。

ただ、日本の農業REITなどがあったとしたら非常に興味を持つ。ちなみに私よりリッチな日銀の黒田総裁はJ-REITも買っているらしいが、私はそこには乗らずに彼のETF買いだけに乗っかっている状況だ。

債券投資をしている人が注意すべきリスク

今、債券に投資している人は注意した方がいい。債券投資で最も気をつけなくてはいけないのは、予定通り「利子」が支払われ、「元本」が償還されるかだ。つまり、発行体の信頼性を見極める必要がある。

そして、二番目に大事なのは金利が上昇するかどうか。金利が上昇すれば、新たに発行される債券の利率は高くなるので、過去に低い利率で発行された債券の人気は下がる。そして、時価が急落するおそれもある。

債券投資では、このように発行体の信頼性と金利の二つが非常に重要といえる。現時点ではさまざまな発行体が債券を発行しているが、将来的に景気が減速する中で金利が上昇すれば、多くの債券の評価額が下がるだろう。

コロナショックの中で、債券は明らかにバブルになっているので、まったく割安ではない。もし債券バブルが弾けたら、これまでで最もひどいバブル崩壊になり、多くの人々が膨大な損失を被るだろう。前述したロシアの短期債券など特別なケースでない限り、20〜21年は債券より株に投資をしたいと思っている。

今後、もっとも割安な資産になるのは…

最後に残るのが商品(コモディティ)だ。これが今後、相対的に最も割安な資産クラスである。砂糖は最高値より約80%も下落している。貴金属については金、銀を2019年の夏から買っているが、どちらかと言えば銀を多く買っており、コロナショックでさらに買い増した。金、銀の価格の比率を見れば、徐々にギャップは縮まりつつあるものの、銀の方がまだ割安だからだ。

銀も今は上昇しているものの、最高値よりはるかに低い。MMT理論が導入されれば、資産価格の回復でこれらの商品が最も上昇するだろう。ワインは個人的にたくさん持っているが、投資目的ではなく、単に飲んで楽しむためだ。絵画やワイン、アンティーク・カーなどについては、しっかり調査できて自分が詳しければ買えばいいと思う。

ただ、私個人としては価値がよくわからない絵画よりは、きちんと市場と相場がある綿のような商品に投資したい。