一時的な株高を能天気に喜んではいけない
こうなると日銀の信用は地に落ち、円は暴落だろう。日本は原油も、農作物も、高額医薬品も手に入らなくなる。紙屑化した円では、諸外国はこれらのモノはおろかドルも売ってくれなくなるからだ。国民は地獄を味わう。
中央銀行が債務超過になり、その発行する通貨が暴落する事態を避けるのが、中央銀行の最低限の責務だ。それがゆえに、以前の日本銀行は、値段の動きの激しい株はもちろんのこと、CP、社債、長期国債などさえ買わなかったのだ。満期までせいぜい2~3カ月の短期国債や政府短期証券、そして実需の裏づけのある期日が間近の約束手形しか購入しなかった。
他国中央銀行は、コロナ禍の非常事態への対応として値動きの激しい長期国債、CP、社債まで購入に踏み切った。が、もっとも値動きの激しい株式には手を出していない。
日銀は、その値動きの激しい株式に手を出してしまったばかりか、今や日本最大の株保有者となってしまった。オーソドックスな元金融マンから見れば、何をかいわんや、である。