意志の力なんて信じたらダメ

——でも、予定外の出費がかさむ月もありますしね……。

私の経験上、お金を貯められない人は、ほぼ100パーセント、言い訳の天才です。「今月は仕方ないよね」などと自分を甘やかしてしまう。毎月の給料が振り込まれるたびに「今月はどうしようかな? いくら貯金に回せるかな?」なんて考えてはいけません。意志の力なんて信じたらダメです。この点、自分を決して過信しないように。

貯められる人は、毎月の給料の2割を貯蓄すると決めたら、何があっても絶対にやるんです。その方法として私がおすすめするのは、銀行口座を2つもつことです。日常的な支出を管理する口座と貯蓄用の口座は分けて、給料が振り込まれたら、2割はすぐ貯蓄用の口座に移してしまう。それで、貯蓄用の口座には絶対手をつけないと決めておくんです。アナログですが、いったん口座を移動させるのが大事です。

そうしたうえで、日々の生活費は意地でも残りの8割で賄う。「予定外の出費」も含めてですよ。そうなると、いやでも残高を気にしますし、お金の使い道を以前よりは慎重に考えるようになるはずです。そうやって、日常用の口座にある分だけでやりくりするクセをつけたほうがいい。

この仕組みをルーティン化して月々のお金のフローに組み込んでしまえば、意志の力や努力なんてしなくても、自然に貯まっていくんですよ。

年収330万円は4年半弱で貯蓄190万円を達成

——うーん。理屈のうえではそうでしょうけど、そのとおりにできたら困っていません。貯蓄用の口座といっても自分の口座なんですから、いったん移したとしても、結局いつだって下ろせてしまいませんか?

お金を貯めたいと言うわりに、どうも貯金へのモチベーションが低いように聞こえますね。当面の目的を思い出してください。「いざ」というときに路頭に迷いたくないんでしょう? 漠然と「お金が貯まるといいんだけどな」という気持ちでは、なかなか続きませんよ。

西園寺さんの場合、毎月どれぐらいの「天引き」が妥当か一緒に考えてあげますから。年収330万円ということは、手取り月収は20万円弱ですよね。

——はい、18万円ちょっとです。残業はあまりするなって言われてますから、しばらくはこれ以上増えそうにありません。あとは夏冬のボーナスが合わせて3カ月分ぐらいです。

じゃあ、とりあえずボーナスには手をつけないことにして、18万円の2割、つまり3万6000円ずつ貯蓄に回せたら、53カ月、つまり4年半弱で目標の190万円を達成できます。これ、ボーナスを除いた計算ですからね。ボーナスを毎年1回分だけでも丸々貯金に回せれば、3年もかかりません。どうですか。具体的な数字が見えると頑張れそうな気がしてきませんか?