私は、10カ月前からブレずに継続してきた医学的な見地からの考察を行いたいと思っています。夏に専門家が東京がパンデミックの中心になることがなると騒いだ時も、正しいことをお伝えできました。

まず、PCRの実施件数をみてみましょう。グラフを見ると急増していることが一目瞭然です。

図表1PCR検査実施人数の変化(注5)(「厚労省 国内の発生状況など」に著者追記)Fig. 1 Changes in the number of individuals undergoing PCR tests

「PCR検査で陽性」はあくまで恣意的なもの

一つ目は、PCR実施件数の変化です。PCRは鋳型になる遺伝子配列がわからないと実施できません。大急ぎで試薬を合成し使えるようにしながらPCR機器も増やしていきました。その準備高に応じて検査が増加していきました。3月までは本格稼働できず6月ごろまでは東京では1日に3000件行っていました。複数の県では4月でも0件が続きました(注6)

冬にカゼをひいたり肺炎で高熱になったりした人はどの県にもいたはずなので、数カ月にわたりやりたくても検査ができない県がたくさんあったわけです。今では、どの県でも検査態勢が充実しました。全国統計では、検査数は1日あたり数千件から数万件の数倍から10倍規模に激増しています。

PCRは少数の遺伝子を増幅する検査ですが、増幅回数や陽性と判断するカットオフ値は任意で統一されていません。サイクル数を上げれば、発症していないわずかな人も陽性になりますし、サイクル数を下げればある程度ウイルス量がない人しか陽性になりません。こちらが参考になると思います(注7)。このように、PCRも恣意的なものです。

図表2.日本での季節性コロナウイルス発生状況(注7)Fig. 2 Trend of seasonal coronavirus outbreak in Japan