日本と欧米では死亡率が違うので蔓延しても問題なかった
まず、ビーナスの右手側。図表1に示したように遺伝子の同定前の2019年年末から翌年3月にかけてはPCR検査ができませんでした。そのころ非常にたくさんの方が感染していたことが予想されます。さらに死亡数がもっと多い場合、感染者ももっと多かったことが予想されます。
日本では西欧と異なり死亡率がとても低いので、状況が異なっていました。真の陽性者大量発生が把握されずメディアの喧伝に利用されなかったことは、恐怖惹起防止の面からは幸いでした。たぶん各地の医療機関は、気づかずに入院も含め通常診療で終わらせていたはずです。そして、なんの問題も起きていませんでした。
2月から北海道で大流行していた
「雪まつり後に発症者急増 北海道、新型コロナ拡大」と報道されたのは、なんと2月です(注10)。東京がコロナの多発地区のイメージに沈む7月の、ずっと前の話にすでに日本で大流行していたのです。
ウイルスが持ち込まれたのはさらに前のことでしょう。年末年始に中国から秋葉原を訪れていた旅行者が、本国にマスクを大量購入するところをAFP通信の写真に残されていることをコラムでもお書きしました。
死亡率から逆算すると、もし十分にPCRが行えていたら陽性者は1日に5000人以上だったのではないでしょうか。中国からのインバウンドなどで、知らず知らず持ち込まれていたものと思われます。その後、各地の観光地でクラスターしたこともそれで説明がつきます。各地に広がっているのに「東京が感染拡大中心地になる」と無責任に言われていました。
新型コロナウイルスが蔓延しているため、GOTOトラベルでもシャッフルするだけで影響が少ないのもそのためです(注11、12)。
今後も感染者が増加しても死亡数は増加しないとみられる
次に、先が見えないと不安ですのでビーナスの左手側の少し未来を予測してみましょう。新型コロナウイルスは、特別なウイルスではなくコロナウイルスの変異株なので、季節性コロナウイルス(注2)と同じ1~2月にピークをもつ振る舞いをするようになるでしょう。