対抗心を燃やす人のトリセツ

このような相手の対抗心に火をつけると、とんでもなくややこしいことになる。こっちには、競争する気も争う気もまったくないにもかかわらず、むこうは闘争心を燃やしてこっちを引きずりおろそうとしてくる。比較意識が強く、こちらをライバル視しても、

自分が必死に頑張って力をつけ、這いあがろうとする人物なら、なんの問題もない。そのような人物は、対抗心を燃やしても、悪口をいったり、嫌みをいったりすることはない。それは、けっして面倒くさい人の部類には入らない。向上心が強く、むしろ健全な比較意識をもつ人といえる。問題なのは、同じく比較意識が強いにしても、頑張って自分が這いあがろうとするのではなく、相手を引きずりおろそうとするタイプだ。比較のうえで自分が相手より上位になるには、自分が這いあがる方法と相手を引きずりおろす方法があるが、そのどちらを取るかで生き方は一八〇度異なってくる。

ドジ話であえて自分を引き下げる

とにかく、やたら対抗心を燃やして攻撃的になる人物はややこしい。そんな闘争にかかわっていたら、むだに心のエネルギーを吸いとられてしまう。なんとかかわす必要がある。そこで大切なのは、相手が頭のなかで掲げている「勝ち――負け」の図式において、むこうが自分は勝利者だと思えるように仕向けることである。

効果的なのは、なにかにつけてドジ話をすることだ。このタイプは、適当に持ちあげられていれば機嫌がよい。ゆえに、持ちあげてあげるのが効果的だが、概してこのタイプは、ホメるべき点があまりないものである。それなのに無理にホメて、おだてるのもあまりに不自然だし、気持ちのよいものではない。こっちまでが嫌らしい人間に落ちてしまったような気分になる。そこで、相手を持ちあげるのでなく、自分を引きさげるのだ。ドジ話により、相手はこっちのことをバカにしながら笑い飛ばすことで、自分の優位性を感じることができるため気分がよい。やたら対抗心を剝きだしにしてくる人物は、自己評価を脅かす相手を見ると、ムキになって攻撃的な態度をとるが、自分より下とみなす相手を攻撃したりはしない。