温泉地攻略に向け「女将の会」にアプローチ

武蔵野ビール工場でのプレミアムモルツセミナー。なかでも生ビールの注ぎ方講習は「女将の会」メンバーの関心が高く、多くの質問が飛んだ。

08年9月からは、湯河原と箱根も新たに担当している森山。着任早々、「湯河原温泉女将の会」の女将や若女将たちを、まずは府中市にある武蔵野ビール工場に連れ出す。バスを仕立ててだ。

日頃、泊まり客にビールを供しているものの、工場で実際のビールができる様子を見るのはみな初めて。工場のスタッフが講師となりセミナーも開催。ビールについての説明だけではなく、美味しい注ぎ方、ビールやグラスの管理など、すぐに役立つ知恵も伝える。そして何より、プレモルを試飲してもらった。

翌日、森山は間髪を入れずに営業に走る。怒濤の連続攻撃だ。参加してくれた女将、若女将に会ってお礼を述べて、プレモルを入れてもらう。その一方、取引には至らなかった旅館を含め、森山は参加してくれた全館に宿泊を約した。

三桝家は、すぐに樽を入れてくれた。カウンターに設置され、例えば散策を終えた宿泊客に喜ばれているそうだ。プレモルが新しい付加価値になっている。

三桝家の菅原保専務は言う。

「日本には、これまで高級ビールがなかったんじゃないか。寛がれているお客様に、ビールというおもてなしができるようになったのは、ウチにとって収穫。私なんかは、サントリーと言えばウイスキーのイメージが強かったんだけどね」

プレモルは、89年に開発されていた。だが、本格的に力を入れたのは05年から。食品業界で権威あるコンテストとして名高いモンドセレクションで最初に、最高金賞を取ったのがきっかけだった。04年には50万箱(1箱は大瓶20本)程度だったプレモルの販売量は、今年は1000万箱を超える。