ポーラの原点「訪問販売」がオンラインで実力を発揮

また、商品購入後のフォローがしやすい点も、オンラインのメリットだといいます。

私もそうなのですが、商品を買うとき、お店の方から「このように使ってください」と説明を受けたのに、自宅に戻ると忘れてしまうこともありますよね。

「ですが、オンラインカウンセリングの場合、ご購入商品を画面で確認しながら、適切なタイミングで使い方をご説明できます」と小池さん。

実は、こうした側面は、ポーラにとって「原点回帰」でもあるとのこと。というのも、同社では1937年に初の女性セールスパーソンが誕生。女性の社会進出の幕開けとともに訪問販売が拡大、成長しました。つまり、元々は顧客の「自宅での様子」に、直接触れられる立場にあったのです。

その後、時代の流れとともに、カウンセリングは各店舗で行う方向へとシフトしていきました。

ですがオンラインを取り入れたことで、例えば顧客に化粧ポーチを見せてもらい、普段使っているメイク用品を見た上で、「これは、こういう使い方をした方がいいですよ」と、手持ちのアイテム活用術を伝えられるようになった。つまり、訪問販売の時代に可能だったことが、いま再び、オンラインで行える可能性が生まれてきたとのこと。

「浅草田原町駅前(台東区)のポーラ ザ ビューティーでは、年内に既存顧客の8割にオンラインカウンセリングを実施できるようにしたい」と小池さん。

一方で、「オンラインならではの難しさもある」といいます。

参加者の満足感が高まる30分ルール

難しさの一つが、時間的な制約です。小池さんによると、「オンラインカウンセリングは、お客さまにその場で一緒に実践していただくこともあるため、今のところ集中が途切れない30分間がベスト。このくらいの時間なら疲労感もなく、楽しんでいただきやすい」といいます。

そのためにも、「顧客の要望をできるだけ早く察知し、カウンセリング内容に反映することが重要だと感じている」と小池さん。ほかにも、全4万1000人のビューティーディレクターに対し、いわゆる「デジタルリテラシー」に関するガイドラインを設けているそうです。

オンラインでも対面でも、カウンセリング内容に大きな違いはないとのこと。違うのは顧客の多くが、パソコンではなくスマートフォンでZoom画面を見ていることです。

「だからこそ、画面で見せるツールや資料は、スマホで見られる状態のものを、あらかじめ用意しておくよう心掛けています」

マスク着用時のメイクレッスンも人気

スマホの小さな画面で、肌のカウンセリングを受けるとなると、確かに顧客側にも、かなりの集中力が要求されるでしょう。ただ、スマホはどこにでも持ち運べ、リビングやダイニング、寝室など、自宅の様々な部屋でゆったりと画面を見られるのもメリット。

こうした中で、ポーラはオンラインカウンセリングとは別に、複数のお客さまに行うオンライン上のイベントやレッスンのような位置づけで、無料の「ワークショップ」をスタートさせました。

好評なのは、「(肌の)セルフマッサージ」と、「マスク着用時のメイクアップ」のコンテンツだといいます。