「介護を後まわしにしても、自分のケアをしたほうがいい」
また、介護者が先に亡くなった場合、残された要介護者の悲痛も察するに余りがあるといいます。
「身内を亡くした悲しみだけでなく、『私が要介護になって苦労をかけたからだ』という自責の念に苛まれるんです。そして心身の衰えも進みます。私が経験した3人の利用者さんは皆、体調を崩して、おひとりはすぐに亡くなりました」
ところで介護者が先に亡くなった方は、その後、どのような生活をおくるのでしょうか。
「その方の体調などにもよりますが、支えていた家族がいなくなるのですから、在宅での生活は成り立たなくなります。特別養護老人ホームであるとか、持病のある方なら病院であるとか、ケアマネの方でなんとか受け入れてくれる施設を見つけて、入っていただくことになります」
頼りにしていた介護者に先立たれ、面会に来る人もいない施設暮らしの老後はつらいものに違いありません。
「ですから、身内の介護をしている方は、自分のことを第一に考えてほしいですね。支える者が倒れたら、介護は成り立たない。困るのは要介護者なんです。疲れたら休む、時には息抜きの時間を作る、検診もしっかり受ける、少しでも体の不調を感じたら医師に診てもらう。介護を後まわしにしても、自分のケアをしたほうがいい。相談してくれればケアマネも、そのフォローをしますから」
コロナ禍は、しばらくは収束しそうもなく、介護者に負担がのしかかる状況は続くでしょう。だからこそ今はYさんが語るように担当ケアマネの知恵や手腕に頼るべきなのです。