コロナ禍で高齢の介護される側ではなく、介護する側が命を落とすケースが増えている。首都圏でケアマネジャーをする男性は「仕事の傍ら、自分のことをそっちのけで親の介護に取り組む中年の息子・娘が持病に気づかずに突如倒れるケースがある。介護する側が倒れたら困るのは高齢の要介護者。疲れたら休み、健診もしっかり受けたほうがいい」という――。
コロナ禍で老親をひとりで介護して、先に死ぬ中年の子供が増えている
「先日、私が担当する利用者さんを介護している家族の方が急死してしまったんです」
そう語るのは、首都圏近郊の市でケアマネジャーをしているYさんだ。
「80歳で要介護3のお父さんをひとりで介護していた50代の娘さんです。介護中に胸の痛みを訴えて、お父さんが何とか119番通報。救急搬送されたのですが、病院に着くまでに亡くなられたそうです。死因は、動脈瘤の破裂でした」
Yさんによれば、介護されている側ではなく、家族など介護している側が病に倒れたり、場合によっては命を落としたりするケースが少なくないという。
「とくに今年は新型コロナウイルスの影響でデイサービス(日帰りで施設に通い、体操や食事、入浴などのサービスを受ける)が自粛されるなど自宅で介護する人(家族など)の負担が増えました。私が担当する市は今ではどのデイサービス事業者も通常営業に戻っていますが、7月くらいまではスケジュール通りにデイサービスに通えなくて、多くの介護者がそのケアの肩代わりをせざるを得ない状況が続いていました。今回亡くなった方もそのひとりで、負担が増えたことによる疲労やストレスが蓄積したのが影響したのではないか、と私は思っています」
介護する者がいなくなったら、老親はどうなるのか
コロナ禍は介護現場にも、このような形で波及しているのだ。
「ただ、コロナ禍がなかったとしても、介護をしている人の方が倒れるケースは少なくありません。利用者さん(要介護者)にとって介護者は命の綱。支える人がいなくなるのですから、それまでの生活は続けられなくなりますし、精神的なショックも大きい。担当するケアマネとしても、そうした事態に遭遇するのはつらいものがあります」
そんな事態を招かないようにするには、どうしたらいいのだろうか。