世界的な不買運動に広がる恐れも

そうした中、ディズニーにとって手痛い判断がここへ来て浮かび上がってきた。香港政府がかねて保留していたディズニーランドの拡張予定地を住宅に転換するという提案を持ち出したのだ。

コロナ禍により、インバウンド需要の復活には時間がかかり、向こう5年は拡張は不要との見通しによるものだが、昨今の「香港に注がれる外国の目」を意識せざるを得なかったのかもしれない。

ウイグル問題をめぐっては、同自治区に拠点を置く世界的企業も厳しい目にさらされている。NHKが9月17日に伝えたところによると、オーストラリアの研究機関が今年3月に公開した報告書で、世界の大手企業少なくとも82社が、ウイグル族の強制労働によって直接的や間接的に利益を得ており、その企業の中に、日本にもファンが多いアパレルメーカー・H&M(スウェーデン)も含まれていたという。

新疆は古くから良質な綿花が採れる栽培地として知られ、世界の服飾業界では知られた存在だ。製造業のサプライチェーンは、下請け加工に回す過程で、どこでどんな形で生産されているか追いきれない部分もある。ただ、こうした強制労働問題が出ることにより、広範な不買運動に発展する可能性も起こり得る。

AFPは9月24日、豪シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」が、自治区内の「収容所とみられる施設」380カ所以上を特定したと報告。これは今までの推計より約40%多く、多数のウイグル人を解放したとの中国の主張に反して収容施設は拡大を続けていると報じた。

中国がどう反論するかはともかく、世界の人々のウイグル問題に対する疑念と懸念はますます高まっている。今回の例を見ても、企業は今後「チャイナリスク」をどう避けるか、危機管理として考えておくべき必要があるのではないだろうか。

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