地域全体でベンチャーの可能性を信じる機運が大切
高原氏も指摘しているとおり、地域おこしをテーマにしたビジネスアイデアから、日本全体の地域課題を解決するビジネスモデルにスケールさせていくには、“ビジネスモデルの筋がいい”というだけでは難しい。経営者に行動力がなければ事業化に至らないし、行動力があっても問題をすべて一人で抱え込んでいては、スピード感は出てこない。筋のいいビジネスモデルと経営者の行動力。そして、それを支える地域のベンチャー支援体制。この3つの要素がそろって初めてビジネスは加速する。
なにより、地域全体で地方発ベンチャーの成長可能性を信じる機運を高めることが大切だ。身近に応援者が増えることで、勇気を出して地域から全国へ向かおうと意識を向ける地方発ベンチャーが必ず増えていく。そのアクティブな動きは地方から全国に伝播し、結果として、地方発ベンチャーを日本全体で応援する好循環が生まれていくはずだ。
実際、福井でもそういった好循環が生まれはじめている。ピッチイベントの定期開催をきっかけに、福井発ベンチャーの存在を知った都会の専門家たちから、アドバイスやマッチングの機会を提供していただけることが増えた。フィッシュパスの提携漁協数が増えたのも、名古屋のベンチャー支援者のサポートがあったこともきっかけの1つだ。
今回のフィッシュパスのような地域課題をテーマにしたビジネスアイデアをもつ人たちが、地域の枠にとらわれることなく、全国に横展開させていく発想をもつことに、チャレンジしていってほしいと心から願う。そして、日本全体の課題を解決するようなビジネスモデルに昇華させていくことで、第2、第3のフィッシュパスが福井から次々と誕生していくことを期待したい。