※本稿は、柏原光太郎『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論――時代はガストロノミーツーリズム――』(日刊現代)の一部を再編集したものです。
富山には20ものミシュラン星付きレストランがある
これまで観光都市でもなかった場所が突如、「美食」「フーディー」「インバウンド」といった要素で飛躍した地域があります。富山県です。
田村耕太郎さんが、2022年2月24日のフェイスブックでこう書いていました。
〈富山県素晴らしいですね。1000メートルの深さの富山湾と3000メートル級の立山連峰に挟まれた世界一ダイナミックで美しい風景。バリ島を思わせる美しい棚田。世界遺産の合掌造りの家屋等々。いまだに人が住んでいる世界遺産は世界中でここだけらしいです。
人口100万人しかいない富山県内に20ものミシュラン星付きレストランがあることも驚き。それほど海、山、畑からの幸そして料理人にも恵まれ、凄まじいポテンシャルです。また、ドンペリの最高醸造責任者が惚れ込んで作った酒蔵も富山にはあります。いくつもの魅力的なリアルな物件を富山県様からご提示いただき、世界の富裕層が集まる自然を活かしたラグジュアリーリゾート開発して参ります。
ゼッカさん桁違いの顧客リスト持っておられますので。“しろえび小判”うますぎです。ゼッカさんとゼッカさんの奥さんと私とで奪い合って食べています。〉
最高級リゾートホテル「アマン」グループ創業者が注目
「ゼッカさん」とは最高級リゾートホテルとして知られる「アマン」グループを創業したエイドリアン・ゼッカ氏のことだろうと思われます。アマンを離れてからも数々のホテルビジネスを成功させ、日本でも瀬戸内海に旅館を作っています。
もともと1950年代にジャーナリストとして東京に住んでいて、箱根や伊豆の旅館に魅せられたというゼッカ氏が、次に考えているのが富山県ということなのでしょうか。
実は、富山県は私の祖父の出身地であり、さまざまなご縁から現在、「とやまふるさと大使」を拝命しています。そのため、富山の方々とはかなり以前から交流があるので知っているのですが、かつて北陸新幹線構想が具体化された頃、富山は強い危機感を持っていたのです。