東京と地方には「ベンチャー格差」がある。福井でベンチャー支援をする岡田留理氏は「たしかに情報はどこでもタイムリーに入手できるようになった。しかし東京などの都会で成長を目指すベンチャーと、あくまでも地方に軸足を置きたいベンチャーでは、必要な支援が異なる」と指摘する——。

本当に「都会との違いはない」のか

以前、大手ベンチャーキャピタル(以下、「VC」)の社長から、「今やインターネットが普及し、どこに住んでいてもタイムリーな情報が等しく入手できる世の中で、地方のベンチャーはいまだに何を格差として感じているのでしょうか」と質問されたことがある。

たしかに、情報をタイムリーに入手できるという点では、都会と地方でもう格差はない。交通アクセスは進歩し、行動力さえあれば、会いたい時に会いたい人に会いに行ける。地方創生が叫ばれている昨今、VC投資を受けるハードルも低くなった。

しかし一方で、地方ベンチャーを取り巻く環境が、これらの変化と同じスピード感で都会とのギャップを埋められているかというと、決してそうではない。

地方のベンチャーが感じている格差の正体とはいったい何なのだろうか――。

画像提供=ふくい産業支援センター
福井県で行われている「福井ベンチャーピッチ」の様子