予定がないと不安になる人は政治家に向かない

【小泉】一人ひとりに個性があります。だから他人がどんな生き方をしていても、それに対してとやかくいうつもりはありません。ただ、予定が埋まっていたり、誰かと会っていたりしないと不安になるという人は、政治家には向かないと思います。

【田村】なるほど。リーダーとなる人は、孤独のなかでどう決断するか。それが非常に大事ですね。若い読者が憧れの進次郎さんになるには、まずは自分と向き合うことから始める。

【小泉】自分と向き合う、自分を知るということは難しいですけどね。一つ言えるのは、自分が有名になるのではなく、有名人を見る側のほうが良いですよ。これは間違いない。

【田村】プライバシーがないからですか? そういえば安倍晋三総理の父である安倍晋太郎さんやお父さんの純一郎さんら、有名な政治家の遊説に随行すると、どこに行っても人が寄ってきて大変でした。一度、乗っていた選挙カーが取り囲まれたこともあります。駅でも新幹線の車中でも街中でも、とにかく人が寄ってきて声をかけてくる。しかし、邪険に扱うわけにもいかないので、いつも笑顔で返していて、本当にすごいなと思いましたよ。

「有名になりたい」では心身がもたない

【小泉】若い人に将来の夢を聞くと、「有名になりたい」と答える人もいるでしょう。しかし、有名になることが目的だったら、もし有名になれたとしても身も心ももたないと思う。重要なのは何をやりたいかです。そのやりたいことを実現させて、結果として有名になったというなら耐えられます。

【田村】有名になりたいという浅はかな考えでは、有名になったあとに必ず問題を起こします。やはり政治家になる人間は、この国をどうしたいのか、明確な考えがなければなりません。しかし、最近はそんな政治家が減っているように感じます。政治家が職業になってしまっている……。

【小泉】最近、よく頭に思い浮かべるのは「人生トントン」という言葉。まさにそのとおりだと思います。例えば政治家をやっていると、大半の人が会えない人物に会えたり、行けない所に行けたり、あるいは見られないものが見られたりします。しかしその一方で、大半の人が当たり前にできることができないのです。

【田村】自由がなくなりますからね。