「将来は有名になりたい」。そんな夢を語る若者がいる。小泉進次郎環境相は「有名になることが目的だったら、もし有名になれたとしても身も心ももたないと思う。いまの私は自由に一人でスタバにも行けない。政治の世界は嫌なことが9割。しかし、やりたいことがあれば耐えられる」という。元自民党政務調査会調査役の田村重信氏が聞いた——。(第2回/全2回)

※本稿は、田村重信『気配りが9割 永田町で45年みてきた「うまくいっている人の習慣」』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

田村重信氏と小泉環境相
写真提供=飛鳥新社

「跡を継げ」と言われたら参っていたかもしれない

【田村】ここからは「生き方」という観点でもお話を聞かせてください。進次郎さんは「自分で決めることが大切だ」といわれています。

誰にいわれるわけでもなく、自分で自分の仕事を探していたそうですね。お父さん(小泉純一郎元総理)の選挙を手伝っていたころは、事務所にきたお客さんの車を磨いていたこともあったとか。聞いたところによると、誰が指図したわけでもないのに、そのように行動していたとか。

【小泉】そんなこともあったかもしれませんね。結局、自分で決めてやるしかないのです。私は政治家になることも自分で決めました。だから逃げられない。もし父から「俺の仕事を継げ」といわれていたら、私も精神的に参っていたかもしれません。

実際に政治家になって、いかにこの仕事が大変か分かりました。また、マスコミ関係者には申し訳ないですが、嘘を書かれることもあります。しかし、そういった状況のなか、時には聞こえないフリをすることも大切です。なぜ政界で強い気持ちを維持できるかといえば、どれだけ犠牲があっても、この世界で生きることを選んだのは自分なのだと思えば耐えられます。だからこそ、自分で決めるのが大切なのです。