2年くらい前に杭州の富裕層のホームパーティーに招待されたときは、20人くらいだったが、40人前くらいの料理が2つのテーブルに並べられていた。足りなければお客さまに申し訳ないという気持ちとメンツの両方があり、多めになってしまう。現在でも、宴会の場合は、地域に関わらず、このような習慣は色濃く残っている。
だが、ここ数年、私が体験してきたように、都市部に住む人々の少人数での食事ならば、食べきれないほどの料理を注文するという昔ながらの習慣は少しずつなくなり、合理的、かつ西洋化してきている。
メンツ重視のスタイルはもう「カッコよくない」?
2013年から続く習主席の号令の効果が出ている、ということもあるだろうが、同時に、前述したように、中国人自身が海外でさまざまな見聞を広めた結果、食べきれないほどの大皿料理をテーブルに並べて「それ、どうだ」と自己満足するようなメンツ重視のスタイルを「カッコよくない」と思い始めているからだ。
しかし、もちろん、前述したように、すべての人が変わったわけではない。「量が多いことはいいことだ」「注文する料理が少なかったら、ケチだと思われるし、恥ずかしい」という意識も根強い。だからこそ、政府は「光盤(皿を空にする)運動」に取り組み、食べ物を粗末にすることを助長するような大食い動画を規制するまでになったのだが、大都市に住む一部の人々の間では、すでにここで紹介してきたような小さな変化が起こっている。
日本での「廃棄前提おじさん」のトピックを見て、思わず、「食べ残すのが当たり前」の中国で今、本当に起きている変化の兆しを思い出した。