この問題の解決法の1つは、ウェブ担当者を核とした組織横断型チームを結成することである。ウェブ担当者がイニシアチブをとって、方針を決定し、実行していく。チームは固定化されたものではなく案件ごとに関係する全部署が代表を送り込む。

仮に企業の経営方針に関する内容なら各部門が関係してくるが、そのなかでも特に関係が深い経営企画部、営業企画部、営業部、マーケティング部、広報部が出席して、互いの意見を出し合って、ウェブサイトに反映させていく。

商品関連コンテンツでキャンペーンを展開するのであれば、チームのメンバーは、商品開発部、営業企画部、営業部、宣伝部、マーケティング部、広報部、カスタマーサポート部などになるだろう。

その際のポイントはウェブ担当者に、ウェブサイト運営上のガイドライン構築を含めてウェブサイト統括の全権限を委譲し、ここで情報の一元化を図るシステムをつくることである。

こういった組織横断型のチームを束ねていくウェブ担当者は高度なマネジメント能力を必要とされる。有能な人材をこのポジションに置くことが必要となる。いまはまだ、ウェブ担当者はどちらかといえば縁の下の力持ちであることが多いが、今後は、組織内で重要なキーを握るポジションになっていくべきである。

最初は小さなリニューアルから始めてみる

顧客との接点強化のため、組織再編やチーム編成といった抜本的な改革ができる企業はウェブ担当者の活用がうまくできているし、彼らの働く環境も快適である。

なかには、人事評価の制度を改革した企業もある。顧客満足向上のための活動を評価の項目に加えるのだ。顧客と直接接することのない部署でも、顧客に関する情報を関係部署にフィードバックするなどで評価が上がる。そうすれば、顧客との窓口であるウェブサイト担当者には情報が集まり、ウェブサイトの充実につながってくる。

今はもうないと願いたいが、経営者が自社サイトに触ったというだけで、ウェブ担当者が喜んだという笑えない話がある。残念ながら、経営者には、ウェブサイトが顧客満足を上げる大きな可能性を秘めた武器であるという認識が低い。ウェブサイトの重要性や利便性は、むしろ、現場で多くの顧客と接する社員のほうが熟知している。

それではウェブサイトの強化の必要性を経営者に理解させるにはどうすればよいか。幸い、ターゲットメディアであるウェブサイトはターゲットに働きかけた結果、どんな成果が得られたかを高い精度で検証することができる。端的なのは、リニューアル前後の訪問者数や滞在時間の増減などだが、これ以外にも様々なデータで変化を調べることができ、成果を測定できる。