日常の人間関係もこの原理で動く

趣味や出身地が共通というようなケースだけでなく、Xに第三者を置くこともできます。そうすることで、日常の人間関係の動きの説明がつくことがあります。

たとえば、PはXさんに好意的で、Oとも仲良くつき合っているとします。何かのきっかけでXさんのことが話題に出て、OはXさんのことを嫌っているのがわかったとします。これは図表の⑤の構図に相当します。

榎本博明『ビジネス心理学大全』(日本経済新聞出版)

このままでは3つの符号の積が「-」であるため、これを「+」にもっていくべく、PはXさんの良いところを話し、OはXさんのことを誤解しているのだと言います。その結果、Oさんが納得し、自分はXさんのことを誤解していたと言い出せば、図表の①の構図となり、みんな仲良くなり、三者関係は安定します。あるいは、OがXさんの悪いところを話し、PはXさんに騙されているのだと説明し、Pも納得し、Xさんを見損なったと言い出せば、図表の②の構図となり、Xを排除した形で三者関係は安定します。

ところが、PもOも譲らない場合は、図表の④の構図となり、PとOが決裂するといった形に三者関係は落ち着きます。

ときに職場の仲間のことを中傷する人がいたり、悪い噂が流れることがあったりしますが、そこにはこの図表の積が「-」の関係を「+」の関係にもっていこうとする何者かの意図が働いていたりします。ややこしい人間関係に振り回されないためにも、この図表を念頭に置いておくと便利です。

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