テニス界のスーパースター、ロジャー・フェデラーもOnに参画

これまで口コミ効果を優先させてきたオンだが、新たなビジネス戦略もスタートさせている。昨年10月中旬からスポーツ界で“世界一稼ぐ男”がOnに参画した。

テニス界のスーパースターであるロジャー・フェデラー(スイス)だ。

今年6月、米国の経済誌『フォーブス誌』が「世界で最も稼ぐスポーツ選手ランキング100」を発表した。2019年6月1日~2020年6月1日に得た賞金や給与・ボーナス、同期間のスポンサー収入を合算して算出したもので、フェデラーは約1億630万ドル(約114億円)で世界一に輝いている。

日本でいえば、MLBで大活躍していた頃のイチローがアシックスの社外取締役になり、ランニング部門でアドバイスするようなイメージだろうか。

現在もトッププレーヤーとして活躍するフェデラーは、投資家として、アドバイザーとして、パートナーとしてOnのオペレーションに関わっている。7月6日には“フェデラーモデル”ともいうべきスニーカー『THE ROGER|Centre Court 0-Series』(ザ・ロジャー センターコート ゼロシリーズ)を世界1000足限定で発売した。

フェデラーは以下のコメントを発表している。

「Onのシューズに出会って以来、そのミニマルなデザインと快適な履き心地の虜になりました。毎日履くテニスシューズにランニングシューズと同じくらいの軽さ、快適さ、俊敏さを加えた理想のテニスシューズ。アスリートとしての、パフォーマンスシューズに関する知識と、僕自身のファッションへの情熱を分かち合いながら、今回Onと共にテニスにインスパイアされた世界一快適なスニーカーを生み出せたことを誇りに思います」

写真提供=オン・ジャパン
「THE ROGER|Centre Court0-Series」を手に持つ、ロジャー・フェデラー

王者ナイキが先行する「厚底市場」にも参戦

さらにOnは7月16日にマラソン向けのレーシングシューズ「Cloudboom」(クラウドブーム)を発売した。

世界特許技術であるソール形状の「クラウドテック」を上下2層にして交互に配置。さらに世界のメジャーレースを席巻しているナイキの厚底シューズと同じく、カーボンファイバープレートが搭載されているのだ。

この1年ほどでナイキ以外にもカーボンファイバープレートを使用したモデルを各メーカーが続々と開発。Onも世界的なトレンドに乗り、レッドオーシャンに飛び込んだことになる。なお、各社のカーボンファイバープレート搭載シューズの最新モデル(発売日)と税込価格(27cmの重さ)は以下の通りだ。

ブルックス「HYPERION ELITE」(2月29日):2万9700円(196g)
ナイキ「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」(3月1日):3万3000円(214g)
ホカオネオネ「CARBON X-SPE」(6月1日):2万7500円(250g)
アシックス「METARACER™ TOKYO」(6月12日):2万2000円(190g)
ニューバランス「FuelCell TC」(6月26日):2万4200円(264g)
アディダス「adizero Pro」(6月30日):2万4200円(240g)

そして、

On「Cloudboom」(7月16日)が2万1780円(225g)

コスパのよさではOnが一番ということになる。日本でOnを履いているトップランナーを見たことはないが、今後はどんな広がりを見せるのだろうか。

スタイリッシュなオシャレアイテムを展開しつつ、本格的なパフォーマンスシューズへ。革新的なOnが乗り出した新たな方向性がランニングシューズ界の“勢力図”をさらに塗り替えるかもしれない。

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