わたしの塾が「授業動画配信」を選択したワケ
いまはライブ授業を再開しているわたしの営む中学受験専門塾は、4~5月は毎週約50本にも及ぶ「授業動画」を撮影し、教育業界に特化した動画配信システムを通じて塾生たちに公開していた。
正直、ZoomなどのWeb会議のアプリケーションを通じた遠隔授業を提供したほうが準備に時間をとられずラクである。
しかし、上述したようなオンライン授業の課題を懸念した結果、授業動画の配信に踏み切った。授業動画ならではのメリットとしては以下の点が挙げられる。
1.制限時間をあまり気にせず、問題解説に多くの時間を割けられる。
2.受信サイドが一時停止したり何度もリピート再生したりすることができる。
わたしが経営する中学受験専門塾は小規模なので、授業動画配信にとどまらず、担当講師が個々に連絡をとり毎週質問対応をおこなうことができた。それでも、ライブ授業なら子どもたちがもっと効率的に学べたのにと思わされる場面が多々あった。
授業動画撮影も苦しかった。何しろ「無観客」で授業をしなければならない。子どもたちの顔が見えない中、その表情を思い浮かべながら授業を進行するのはなかなか難しいのだ。
なお、YouTubeでわたしの授業動画のダイジェスト版を公開しているので、関心のある方はぜひ視聴してほしい。中学受験塾の動画授業はどういうものなのか多少はイメージできるかもしれない。
ライブ授業に優るものはないけれど
繰り返しになるが、ライブ授業を自粛した各塾のオンライン対応を非難する考えはわたしにはない。それぞれの塾が苦心して子どもたちの学びを支えようと努めているのだから。
本稿で言いたいのはこういうことだ。
今後、新型コロナの感染者数が再び増加の一途をたどり、オンライン授業で中学受験勉強を進めねばならない日がやってくるかもしれない。保護者はその日に備えて、オンライン授業の特性や課題を把握した上で、親子の「距離感」についていま一度考えてほしいのだ。