いい質問にはさまざまなメリットがある
質問は、それそのものが情報をギブする行為です。質問をする側は、「僕は今こんな状況だから、こんなことを考えているので、これについて聞きたい」と質問することで“自分はコレに興味がある人間です”というアピールにもなります。
質問された側にとっては、“こういう観点で聞いてくれたのか”というフィードバックにもなります。質問は、相手と仲良くなる手段でもあるわけです。
毎日情報をギブし続けていると、いい質問ができるようになります。だからぜひ、講座や会議で、グーグルドックスなどで議事録やメモをとりつつ、一方でいい質問をするためのアイデアメモをとる習慣をつけてみてはいかがでしょうか。
これらを繰り返すことで、だんだん、人の興味を掴むコツがわかってきます。するとどんなシーンでもコミュニケーションができるようになり、人生がぐっと楽になります。
いい質問をするための視点
いい質問をするコツは、相手にはなくて自分が持っている視点を見つけることです。たとえば登壇者がAI事業に携わっている40代男性なら、講演中に話した自社サービスを、10代や60代の他世代がどう感じるのか、はたまた異性である女性ならどう試したいと思ってくれるのかが気になるでしょう。
そこで、質問者が10代の学生さんなら「今の学生は、スマホをこんな風に使うのですが、御社のAIサービスではどのように置き換えることができるでしょうか」というように、“学生ならではの視点”を主軸に据えて、質問するといいでしょう。
たとえば地方にお住まいなら、地域の住人としてのサービスの見え方、プレゼンの見え方のフィードバックを添えて質問すれば、相手にとって非常に有り難いギブになります。
実際、僕も地方で講演させていただく機会があるのですが、国内においては東京を中心に活動させていただいている身としては、東京以外にお住まいの方が講演を聞いてどう感じているのか、どんな違和感を持つのかなど、とても気になります。
以前、講演前に近くにあった書店に立ち寄ってみたら、その店の売上げランキングの上位ほとんどが仏教をベースにした自己啓発本だったことがあります。つまりこの地域で本を読む人の多くは高齢者らしいとわかります。
自分視点の質問は、相手にも有り難いギブになる
都内の書店では、目立つ本棚にビジネス本が平積みされていることも多いです。そのため、いざ地方へ赴いたときにまったく異なる現実を目の当たりにすると、ビジネス本を出させていただいている身としては、地方で暮らす方々にも本を届けるにはどのような工夫をすべきか、どのような言葉で届けるべきか、非常に考えさせられるわけです。
というのも、都内で活動する多くの人は、東京=日本のスタンダードではないことを理解しています。たとえば山手線の乗客の8割くらいはiPhoneを使っていますが、地方でローカル線に乗ると半分くらいで、あとはAndroidやHuaweiユーザーが多いことがわかります。