これをビジネスとして見たとき、たとえばアプリを作るときに、都内にいると「iPhone向けに特化して作ればいい」と思い込んでしまう。しかし国内レベルで見れば、他社のスマホユーザーのほうが多いくらいかもしれない。つまり、東京を日本のスタンダードに据えてしまうと、偏ったサービスが生まれてしまうのです。

このように、それぞれの地域によってまったく異なる文化や習慣があるわけですから、特に地方公演の機会があるときは、できるだけ現地にお住まいの方の視座を知りたいのです。

Point 質問には自分ならではの視点をのせる

そもそも、手を挙げる自信がない人へ

しかし、実際の講演の場では、なかなか自信がなくて手を挙げられないという方の声も耳にします。よく聞いてみると、「自分は一流のビジネスマンではないから、自分の意見や視座、質問には価値がないと思ってしまう」というのです。

せっかく講演にいらした学生さんや主婦の方も、自分の視野は狭いから手を挙げられない、と思い込んでしまうようなのです。

たとえば地方にお住まいの方から見ると、“東京にいる人が最も広い視野を持っている。自分の視野や意見なんて価値がない”と思い込んでいる方も珍しくないようです。

しかしこれらは、これまでの時代の中でできあがった“地名ブランド”や“肩書”“数”の刷り込みが生んだ自己卑下にすぎません。

むしろ、“ここにいる自分だからこそ、異性や異なる年代、地域の人にはわからない視点や視座がある”と、唯一無二の価値を持っていることにしっかり自信を持って、堂々と意見やアイデアを打ち出してみて欲しいのです。

自分の持っている視点は「唯一無二の価値」がある

ただし、そのためにはまず“自分の視座の価値”を知る必要があります。たとえばどこに住む人であっても、地元の価値を知るには、一度外の世界に出てみて、地元と外の世界の違いを知らなければ、地元の良さはわからないのです。

たとえば旅行は、自分の地域とよその地域とを相対化する上で絶好の機会になりますが、ただ観光客として楽しんでいるだけでは、なかなか違いに気づけないこともあります。なぜなら、観光客とは、“観光客向けのサービス”を向けられる存在だからです。

僕の友人のライターさんは、旅をするならなるべく安い民宿やエアビーアンドビーの宿に泊まり、近所のスーパーで食材を買って料理をすることで、少しでも現地の生活習慣に触れるようにしていると言います。

なぜなら、スーパーは毎日でも訪れる場所なので、地元とよその地域との違いがわかりやすく、品揃えや価格から、現地の生活や習慣がよく見えるのだそうです。つまり、地域同士を相対化するためには、なるべく現地の生活習慣がわかる場所に赴くといいのです。