「ホストってジャニーズより面白い」
歌舞伎町のホストに行くためだけに、歌舞伎町の翼に貢ぐためだけに昼職を辞めた。故郷を離れてずっとカラダを売っているのが現状だ。どうして、そこまでするのだろうか。
「学生のときにジャニーズが好きだったの。SixTONESの京本(大我)。妹もジャニオタだったけど、私は趣味にのめり込むタイプで。ずっとHey!Say!JUMPが好きでコンサートのいい席を買うんです。昔は席が発券の時点でわかるので、いい席を買えるまで15万円とか使う。だから、最初ホストは安いと思った。3万円くらいだったから。最初は楽しみとして週に1度くらい。イケメンとお酒が飲めるのが楽しかった。ジャニーズはしゃべれたり、隣に座ったりがない。ホストってジャニーズより面白いと思いました。ホストはカッコいいし、好き。それで翼と会ってから本格的にお金を使うようになりました」
ホストクラブではホストを客同士で取り合う。ホストはお金を使う女性ほど優しくして重宝するので、「どれだけお金を使うか」という競争が始まる。
「シャンパンを入れた。ほかの客に負けたくないって。お金を使う人が大事にされるから。それで風俗を本格的に始めました。使うお金は月100万円とか130万円とか。東京出てきて最初にシャンパンを入れたら、翼にすごく喜ばれた。ありがとうって、泣いてくれた。だから本当はすごく苦しいんだけど、使うお金を下げて失望されるのが怖かった」
東京では家賃5万円のアパートに住んでいる。家賃や食べ物をギリギリまで切り詰め、光熱費や携帯代以外はすべてホストに使っている。
2月中旬突然客が減り、稼ぎは6割減
好きな翼に勧められて風俗嬢になった。翼を通じて池袋のデリヘルを紹介された。ホストにお金を使うこと、そのお金を稼ぐことが東京生活の最優先事項だ。まったく休むことなく、デリヘルに出勤した。そして、出稼ぎのほうが効率がいいことを知った。この1年間は、毎月1度は地方都市に行く。宇都宮、名古屋、愛媛、高松、秋田、岡山、静岡と、さまざまな場所で働いた。
東京に出てきて2年間、ほとんど一日も休むことなく、出勤し、男性客をとり続けている。
「コロナ前は1日5万円くらい稼げていました。池袋は毎日本番強要をされるので、けっこう大変。レイプされたことも一度や二度じゃないです。それでコロナが始まってからは外で会えるお客さんをつくるようにして、店を通さないで会うみたいなこともしています。2万~3万円をもらってホテルでエッチですね。何回も指名で来てくれるお客さんを直引きしていました」
突然、お客さんが減ったのは2月中旬だった。
「出稼ぎで愛知にいたとき、突然人がこなくなった。もともと2月って風俗は閑散期で、風俗嬢になって初めて保証割れになりました。それまで保証3万円だったのに愛知では一日2本、そのまま寮費一日3000円を引かれて1万5000円くらいしか残らなかった」
風俗は完全出来高制である。出稼ぎの場合、女の子はその地方の店でいくら稼げるのかわからない。保証とは受け入れる風俗店側が一日の最低賃金を掲げる金額だ。スカウトを通じてOKが出れば、寮の使用や往復の交通費といった費用の諸条件を決めて出稼ぎに行く。
「2月中旬から持って帰れるお金が減った。通常だったら4万円、5万円が普通。出稼ぎだと新人目当ての人がつくので稼げるんです。で、3月の出稼ぎが飛びました。金沢に行くつもりで決まっていたけど、前日になって店からキャンセルされた。突然、行けなくなりました。3万円の保証はとても出せないって。コロナになってから池袋での稼ぎは6割減くらい、出稼ぎも保証が1万5000円とか。だから、3月はずっと働いても50万円しか稼げなかった」