成功の鍵を握るのは日銀のイニシアチブ

実際、米国でも、同様の趣旨から、ドルのデジタル化のあり方について議論を行うための非営利団体である「デジタルドル財団」(Digital Dollar Foundation)が設立されています。この財団の中心人物には、米商品先物取引委員会(CFTC)の前会長という公的部門の経験者がついている点も、何やら図式が似ています。

こうした官民の役割分担は、中央銀行が持つ「制度的な優位性」を背景に、民間の「技術的な優位性」を活かそうという発想は、拙著の主張とも重なっており、望ましい方向であると言えるでしょう。

しかし、これまでのように民間が成熟させた技術を中央銀行が使うわけではなく、新しい技術を使った通貨を創るわけですから、中央銀行にとって初めての体験となります。したがって、この試みが本当にうまく行くかどうかは予断を許しません。

技術面では民間の知恵を借りざるを得ないものとみられますが、CBDCをトークン型にするか口座管理型にするかなどの制度的なデザインについては、日銀がしっかりイニシアチブをとって進めることが望ましいものと考えています。

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