30代本社記者「こうなることは目に見えていた」

共同通信は1945年の創立以来、国内外のニュースを取材、編集して新聞やテレビ、企業などに配信しさまざまなメディアを支えてきた。いわばニュースの卸問屋で、例えば地方紙の一面が東京・永田町のニュースや、まったく別の地方の凶悪殺人事件であれば、その記事は共同通信配信のものである可能性が高い。ニュースの配信を受けるためには共同通信に社費を支払い「加盟社」となる必要がある。現在、加盟社はNHKや日経新聞、産経新聞、毎日新聞といった全国紙、各県の地方紙など56社に及ぶ。

編集部撮影

加盟社以外にも一部の記事の配信を受ける「契約社」がある。朝日新聞や読売新聞のほか、フジテレビやTBSなどのキー局をはじめ、地方の主要な民間放送局など100社以上が契約社として共同の配信を受けている。日本語だけでなく英語や中国語での配信もしている。

昨年は「関西電力役員らの金品受領問題」のスクープと一連の報道で新聞協会賞を共同通信が受賞。「公益事業である電力会社が抱える『原発とカネ』の問題を暴いた優れたスクープ」として高く評価された。速報だけでなく調査報道にも力を入れる。

しかし共同通信の経営状況は芳しくないようだ。

6月22日、職員のメールアドレスに共同通信労働組合が発行する「共同労組NEWS」が届いた。そこに記載されていた衝撃の文章に、職場は騒然とした。「水谷社長は(中略)現在約1600人の正職員数を1300人台とし、300人規模で減らすと表明した」。

「正直、ついにきたかって感じです。毎日と産経が人員削減やって、いつまでも安泰なわけがないですし。特段驚きはなかったです」

そう語るのは30代の共同通信本社出稿部の記者だ。「加盟している地方紙の発行部数が落ちれば、それと一緒に営業収益が落ちるのが共同通信の宿命。オンラインの事業もうまくいっているとは言えない。こうなることは目に見えていましたよ」

地方紙の部数減、人件費高騰で8期連続の赤字見通し

共同通信の収入の4分の3を占めるのが、加盟紙が納める社費だ。つまり加盟紙の発行部数が下がれば社費も落ち、共同通信の経営に大きな打撃を与える。共同労組NEWSの4月20日の記事では、労務部長らが経営状況の厳しさを語っている。

その記事などによると、社費は2014年度の約314億3000万円から年に1億円以上の減少が続いているといい、18年度は309億7000万円だった。加盟社の新聞発行部数は、18年度は2437万部で前年から91万部減った。一方で人件費は、14年度の229億6000万円から18年度は236億4000万円まで増加した。18年度決算は13億4000万円の赤字で、赤字は7期連続。19年度も赤字の見通しだという。