こんぴらさんの離脱、ついにきたか

「ついにきたか、という感じです。ものすごい驚きはありません」

6月12日、香川県琴平町にある神社・金刀比羅宮が神社本庁より離脱するというニュースが全国を駆けめぐった翌日、ある四国在住の老神主はポツリと、そんな感慨を筆者の取材に対して漏らした。

こんぴらさんの呼び名で知られる金刀比羅宮
写真=iStock.com/thanyarat07
※写真はイメージです

金刀比羅宮は「こんぴらさん」の愛称で知られる有名観光地で、四国を代表する名門神社と言っても過言ではない。そこが全国約8万の神社を統括する神社本庁から離脱することは、間違いなく神社界全体を揺るがす大ニュースである。

神社本庁とは、宗教法人上の位置づけとしては「包括宗教法人」と呼ばれる団体で、例えば仏教における浄土真宗本願寺派、曹洞宗、日蓮宗、天台宗などといった「教団組織」に相当する。神主たちの資格認定を行い、また全国の神社の宮司人事なども司る、神社界の事務執行機関である。本部は東京・代々木、明治神宮の隣接地で、前述のように全国約8万の神社が加盟。それらの神社は日々、神社本庁の定めた規程にのっとり、またその人事権の下で運営されているというわけである。