「かっちゃんと呼ばれるのは小学生以来です」
「戦中派」という言葉はどれくらいぶりに聞いただろうか。
「私は戦中派だから変な言葉遣いでしたらごめんなさいね。こないだも、エプロンを前掛けと言ったり、死語を使うことも多くて」
スターバックス コーヒー ジャパンの最年長パートナーとして働く山田勝子さんは開口一番そう言った。先日も「それって“爪で拾って箕でこぼす”ですよね」と若いスタッフに言うと、怪訝な顔をされたという。1943年生まれの76歳、第2次世界大戦中に生まれた。昨年11月から南町田グランベリーパーク店のスタッフとして、フロアでの接客やホイップ作りやコーヒー計量などの仕込み、食器の洗浄や掃除などを行っている(※)。
「かっちゃんはうちの看板娘なんです」
50歳以上も年下の、孫の年齢ほどの社員がそう言葉を挟むと、山田さんは白い歯を見せて笑った。
「かっちゃんと呼ばれるのは小学生以来です。最初はちょっと戸惑いましたが、だんだん慣れてきました」
若いスタッフが多いスターバックスで、山田さんは「かっちゃん」となって、どうして働くようになったのだろうか。
※取材当時