北京留学の衝撃「顔面に向かって100%訴えてくる」

【三宅】自分の意見をはっきりと主張することは昔から得意だったのですか?

【ハリー】パブリックスクールで鍛えられたこともありますけれど、実は北京に1年留学した経験も大きいです。目的は語学留学だったわけですが、いざ現地に飛び込んでみると、世界にはいろんな文化、いろんな人種の人がいて、考え方も人生の歩み方も人それぞれなんだなとつくづく思いました。

【三宅】中国はかなりストレートな物言いをされる方が多いですからね。

【ハリー】顔面に向かって100%訴えてくるような言い方で、よく言えばわかりやすい。悪くいえば無礼。とくに僕が育った日本もイギリスも伝え方が婉曲的ですから、とにかくそこが衝撃的でした。

【三宅】現地の方々ともいろいろコミュニケーションをとられたんですか?

【ハリー】当時は寮ではなく学外に住んでいて、大学には毎日タクシーで通っていたんですね。安いのと、バスと電車が殺人的に混んでいたので。そのタクシーなんですが、中国では、日本やイギリスと違って運転手さんの隣に座ることができます。だから僕は毎日あえて運転手さんの隣に座ってお話しをするようにしていました。たいてい、タバコの煙を顔面にかけられながら(笑)。

大学の授業よりも、そこで交わした会話が一番の勉強になったと思います。北京の市井の人々の本来の姿を垣間見ることができましたからね。

【三宅】異文化をどんどん知っていくと精神的にタフになれる側面がありますよね。

【ハリー】本当にそう思います。最初のうちはイラッとすることも多いんですけど、「人は違って当たり前」という前提に立ってコミュニケーションがとれるようになると、あまりカッとしなくなります。

僕も中国で1年暮らしたことで、よりオープンな心を持てるようになりました。昔なら「この人の意見は間違いだ」と切り捨てていたような場面でも、「この人はこういう立場だからこういう意見をいうのだろう」みたいに、俯瞰して物事を捉えられるようになりました。逆に自分の意見を聞いてほしいときも、「人は違って当たり前」と思えているとアピールの仕方も変わるじゃないですか。より説明的になるといいますか。

これから語学を勉強して異文化を知りたい方には、現地のタクシー運転手との会話がおすすめです。

グレタさんの出現に危惧すること

【三宅】発信力についてお聞きしたいのですが、世界のメディアに目を向けると、最近話題になったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんなど、若いスピーカーが出てきています。この風潮はどうご覧になっていますか?

【ハリー】いいことだと思います。しかし、グレタさんに関して少し難しいのは「正義のヒーロー感」というか、「ジャンヌダルク感」が微妙に出ていますよね。そこにちょっと危険な香りがします。

【三宅】と、いいますと?

【ハリー】彼女の周りに群がっている大人が、かならずしもグレタさんの主張の純粋な支持者とは限らない、という意味です。「各国の首脳にダメ出しをしたグレタさん、かっこいい」「グレタさんの波に乗っておけば間違いない」みたいな、ファッション感覚の人が多いことに危険を感じるのです。

もっと純粋な形でグレタさんの主張が広がればいいのですが、このままいくと周囲の大人が彼女を変なキャンペーンや変なメディアにひっぱり込んで、彼女の信用が一気に失われてしまう危険があると感じています。

【三宅】深い洞察ですね。

撮影=原貴彦
タレントのハリー杉山氏(左)とイーオン社長の三宅義和氏