グローバル・テクノロジーが終わりを告げる

ファーウェイに対する輸出規制を「ディール」と捉えるトランプ大統領の方針は揺れ動く。しかし米国政府はファーウェイをはじめとする中国の最先端企業を叩き潰すため、返り血をいとわずデカップリング(切り離し)を進めるだろう。

倉澤治雄『中国、科学技術覇権への野望 宇宙・原発・ファーウェイ』(中央公論新社)

米国はこれまで基軸通貨のドルを武器に、知財の保護や市場原理に基づいたサプライチェーンの構築に中心的な役割を果たしてきた。国際的なイノベーションのエコシステムは米国が作り上げてきたものである。米国は今やそれを壊そうとしているかに見える。

ワシントンの最有力シンクタンクCSISはこれを「グローバル・テクノロジーの終焉」と位置付ける。

今後世界は米中二つの陣営に分断され、サプライチェーンの再編や人材、研究成果、知的財産の囲い込みが始まると予想される。通信ネットワークには制限がかかり、世界初の統一規格となった5Gは威力を発揮することなく、各陣営でのローカルな利用にとどまるかもしれない。まさに「グローバル・テクノロジーの終焉」である。

「グローバル・テクノロジーの終焉」は何をもたらすのか、安全保障では米国と同盟関係にあり、中国を最大の貿易相手国とする日本は厳しい選択を迫られる時代になるだろう。

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