男女の立ち位置が、無駄なストレスを作り出す

男女で、レストランで食事をするとき、壁際の席に案内されたら、男性は通路側に座り、女性を壁側に座らせたほうがいい。ヨーロッパのマナー通りに。でも、理由は、レディ・ファーストだからじゃない。

男性は、半径3メートルの外側に無意識のうちに目線を泳がせ、動くものに目線を走らせる傾向が強いからだ。お店のスタッフの動きや、向かいの客がワイングラスを傾けたしぐさなどに、いちいち目線が行く。目の前の大切な人に集中できる女性からしたら、「食事に集中していない」「自分に集中していない」と感じて不安になるからだ。せっかくのデートなのに、もったいなさすぎる。

ショールームの設計にも気をつけたほうがいい。

男性説明員が、店内を見渡せるような立ち位置で接客すると、他の客の動きに目線を取られることがあり、女性客からしたら、自分に集中していないとか、落ち着きがないように感じることがあるのだ。

目線の運び方が違うことを知らないと、男性の“遠くをちらり”は、集中力の欠如に見えてしまう。

ということは、女性が、男性に何かを説明するときも、立ち位置(座り位置)には気をつけたほうがいいということだ。

男性を「他者の動きが目に入る」場所に立たせると、集中力を欠いているように見えてイラっとする。「話、聞いてるの?」と確認したくなることがある。しかし、これは、濡れ衣である。

危険察知能力の高い男性脳は、目線が泳ぐのを止められない。そんな男性たちを、「他者の動きが目に入る」場所に立たせて、何かに集中させようとしないことだ。

男性脳の三次元点型認識

男性は、半径3メートルの外側、ときには何キロメートル先までもが守備範囲である。その広い範囲を瞬時にカバーするには、「綿密に見る」というわけにはいかない。

あらゆる奥行きの、いくつもの点をチラチラッと見て、空間全体を把握して距離感をつかむのである。

構造物を見るときは、角や輪郭をさっと注視し、構造を理解する。テクスチャー(面の質感)を味わうのは、その後になる。

すべてを見るのではなく、かいつまんで見るわけだ。かいつまんで見るからこそ、瞬時に距離感が測れるし、ものの構造を見抜くことが得意なのである。

一方で、「あなた、あそこに、赤い缶があったでしょ?」とか「あのとき、あの人、こんなバッグを持っていたわね」には、「わからん」「見てない」と応えることが多い。女性にしてみれば、「そっけない」「とりつくしまがない」と感じて、「もうちょっと、優しい口の利き方ができないの?」となじりたくもなるのだが、そもそも見ていないので、言いようがないのである。

奥行きのあらゆる点をかいつまんで見て、空間全体を把握して距離感を測り、ものの構造を見抜く。こういうものの見方を三次元点型認識と呼ぶ。