感染症とどう向き合えばいいのか

岩田健太郎『新型コロナウイルスの真実』(ベストセラーズ)

第3位は『新型コロナウイルスの真実』です。本書は、感染症専門医である岩田健太郎氏が、感染症に対してどう対応するべきかをまとめたものです。未知の感染症にさらされると、どうしても社会はパニック状態に陥ります。そのとき重要なのは、情報や知識、事実をつかもうとする姿勢です。

「これがすべて正しい」と特定の情報を盲信するのではなく、専門知を尊重しながら、情報から適切に距離を取ることの大切さが求められます。本書は限られた情報のなかで、少しでも適切に行動することを促してくれるでしょう。

 

肩の力を抜いて、「教養」が学べる

戸田山和久『教養の書』(筑摩書房)

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。

第5位は『教養の書』。本書のターゲットは中学生~大学生とされていますが、大人こそ読むべき本でしょう。「教養」とついた本は数多くありますが、「そもそも教養とはなにか」「なぜそれが必要なのか」という問いに、しっかり答えてくれる本はなかなかありません。本書はそうした疑問に対して真摯に答えていますし、「エンターテインメントをめざして書いた」というだけあって、読んでいて単純におもしろい。肩の力を抜きながら、楽しく「教養」について学べます。

教養とは、単純に知識を身につけることにあらず。豊かな人生を歩み、人格を磨き上げていくことにこそ、その価値があります。自粛続きで気が滅入りがちな状況だからこそ、読む価値が高まっている一冊と言えます。